2026年1月25日、神戸市内において市民公開講座「こころのSOSと社会の応答 ~みんなで考える子ども・若者のいのち~」を開催しました。本講座は、ムーンショット型研究開発プロジェクトの一環として開発を進めているメンタルヘルスに関する可視化技術・予測技術について紹介するとともに、その社会での活用のあり方について市民の皆さまと共に考えることを目的として実施したものです。

当日は、神戸市および関西圏を中心に、医療従事者、地域支援者(行政・NPO)、当事者およびそのご家族など約80名の方々にご参加いただきました。講演では、子ども・若者のメンタルヘルスや自殺予防に関する現状、研究開発の取り組み、データを用いたリスク情報の提示や支援の可能性などについて紹介しました。その後の市民対話では、参加者の皆さまと活発な意見交換を行いました。
市民対話では、メンタルヘルスに関する情報提示が個人や社会にどのような影響を与えるのか、また新しい技術を社会に実装する際にどのような課題や配慮が必要かについて、多様な視点から意見が寄せられました。
市民対話の主な論点
- 数値化されたリスク情報や予測結果は、不安や行動変容を引き起こす可能性があり、「診断ではない予測情報」をどのように受け止めるかが課題である
- 情報の影響は年齢や心理状態などによって大きく異なるため、個人差や脆弱性を考慮した情報提示が重要である
- リスク情報だけでなく、回復や前向きな行動後の将来イメージなどポジティブな情報を併せて提示することが有効である
- 技術の社会実装にあたっては、ELSI(倫理・法・社会的課題)を踏まえた運用設計や指針の整備が必要である
※その他、生成AIを活用した新しい支援の可能性や、生体データが日常的に扱われる社会における支援のあり方などについても議論が行われました。
研究成果を市民の皆さまと共有するとともに、社会における受け止め方や課題を対話を通じて確認する貴重な機会となりました。今後も本プロジェクトでは、研究開発と並行して市民との対話を重ねながら、子ども・若者のメンタルヘルスの向上と自殺予防につながる社会実装を目指していきます。
登壇者/パネリスト(敬称略)
- 菱本 明豊(神戸大学大学院 医学研究科・教授/シンポジウムコーディネーター)
- 大塚 郁夫(神戸大学大学院 医学研究科・准教授)
- 寺田 努(神戸大学大学院 工学研究科・教授)
- 標葉 隆馬(慶應義塾大学 メディアデザイン研究科・准教授)
- 篠宮 紗和子(慶應義塾大学 メディアデザイン研究科・特任助教)
※詳細は、本ページに掲載のレポートをご覧ください(3月中旬掲載予定)。